ゴツゴツした音塊はジェフ・ベックの男気なり。ジェフ・ベック・グループ!

ジェフ・ベック・グループ(紙ジャケット仕様)ラフ・アンド・レディ(紙ジャケット仕様)








 豪快で渋くて生々しい音像。素材を鷲掴みにして、思いっきりこちらに投げられたような感じの音である。ぱっと聴き、混沌としていて、きちんと整理整頓されてこちらに提供された感じがしない(アルバム「ジェフ・ベック・グループ(通称”オレンジ”)」では、スティーブ・クロッパーがいるおかげでまとまってはいるが、それでもグイとはみ出してくるジェフのギターよ!!!)。実に荒っぽい流儀である。耳から入った音塊が、頭の”鉢”の中(頭蓋骨の内側)でゴロゴロざわめいてる(転がり回っている)。まったく、ブットい音たちだ!!!


 しかし、豪快な各人の演奏がひとつの曲を奏で、バンドサウンドとしてこちらにぶつけられた時、それがえらく気持ちが良いのである!!!ジャズ、ロック、ソウルが「混じり合い、融合して出来た新しい”なにか”(音)」ではなく、「混じり合わずに素材がそのまま混在しているが、得体の知れない熱気を孕んだ”なにか”(音)」とでも言い表そうか。しかも、武骨だが非常に洗練されているのである(マックス・ミドルトンのピアノ&エレピたまらんすね)!!!シャープでソリッド、かつ、生々しい楽器と楽器のぶつかりあい。


 私はこれらの音を、はじめは未整理な音のせめぎ合いと捉えていたが、それは、それぞれの音楽性・個性の組み合わせに、こちらの耳が慣れていないだけで、まったくバラバラでちぐはぐな演奏をしている訳ではなかった事がよくわかる(ただし、ジェフのギターがいきなり突っ込んできたりするが。それも頻繁に(笑)!!!そこがたまらなくカッチョいいっす!!!)。だから、彼らの音を聴くと、「こういう組み合わせがあったか!」と単純に驚いてしまう。自分がいかに普段、型にはめて音楽を聴いているかを思い知らされるのである。しかし皆、規格外過ぎる演奏ですよね!!!とにかくスリリング!!!文句なしにかっこいい!!!


 ジェフ、ボビー、コージー、クライヴ、マックス。武骨だがスマートな男たち。こいつらまったく”男前”な野郎共だよ!!!


 (※右上「ラフ・アンド・レディ(1971年作品)」、左上「ジェフ・ベック・グループ(1972年作品)」。ともに”第二期”ジェフ・ベック・グループの作品です。)