英国白人ソウル/ブルーズシンガーの系譜・'60s〜'70s

 今月末、来日公演を行うクイーンのシンガーとして、いよいよ日本にポール・ロジャースがやって来る。ポールと言えば、「フリー」、そして「バッド・カンパニー」であるが、レコ屋で来日特集される気配も無い(ド定番だからか??)…。
 だからここで特集しちゃいます(お前がやるな、と言われそうですが…)!!
 ただやるのはつまんないから「英国白人ソウル/ブルーズシンガー特集」とでもしましょうか!!
ベスト・オブ・スペンサー・デイヴィス・グループ
ゼム・ファースト?アングリー・ヤング・ゼム
フロム・ザ・ビギニング+6
トゥルース(紙ジャケット仕様)
Joe Cocker
Fire and Water
Live
You Are the Music, We're Ju
Once in a Blue Moon
Jess Roden
Pressure Drop
ホワイトスネイク(紙)
スティーヴ・ウインウッド
 冒頭一発目の「ギミ・サム・ラヴィン」でのひしゃげたシャウト!!もう白人とか黒人とか関係なく凄え!!規格外の凄さ!!レイ・チャールズ直系のシャウティング・スタイル。映画「ポップギア」での「マイ・ベイブ」、かっちょええ(ウインウッドのみ際立っている)!!’64年デビュー当時、若干16歳ですよ!!!ブラインド・フェイストラフィックとその後のキャリアも凄い!!なんか「凄い」を連発し過ぎですんません…。
 ★スペンサー・デイヴィス・グループ/The Best Of The Spencer Davis Group(1967年作品)
ヴァン・モリソン
 こちらも一曲目の「ミスティック・アイズ」でやられます!!ヒリヒリするようなテンションで迫るシャウト!!鋭利なナイフで切り裂かれるような…ただならぬ殺気を感じます。数多のバンドがカヴァーした荒ぶる名曲「グロリア」は言わずもがな。その後、ソロとなり、名盤「アストラル・ウィークス」、「ムーンダンス」等々、現在もなお、この人しか成し得ない歌世界を生み出し続けている、孤高のアイリッシュソウルシンガー。
 ★ゼム/ゼム・ファースト〜アングリー・ヤング・ゼム(1965年作品)
③スティーヴ・マリオット
 搾り出すように発される熱を帯びたヴォーカル…ソウルを感じます!青さをたっぷり湛えた荒っぽいシャウト!!めちゃくちゃ魅力的!狂おしいほどです!!小さな体で思いっきりソウルを体現していた人であります。さらに自らの道を追求したハンブルパイでは、ヴォーカルもより太く、より強力に、豪快なハードロックをかましてくれました!!ただ、早世が残念でなりません…。
 ★スモール・フェイセス/フロム・ザ・ビギニング(1967年作品)
ロッド・スチュワート
 じわじわ込み上げてくる嗄れ声。喉にエフェクターが仕込んであるかのよう。”ささくれ立ったサム・クック”とでも言おうか。重厚さをまとい、張り上げられるシャウトは、ベック率いる脅威のバンドサウンドに完璧に拮抗している!!その後、(こちらもめちゃめちゃ本人の資質と合っていて素晴らしかった)フェイセス、ソロと、駆け足であっという間に”スーパースター”になっちゃいましたねぇ…まあ、本人が幸せなら良いんですがね…うーむ。
 ★ジェフ・ベック・グループ/トゥルース(1968年作品)
ジョー・コッカー
 こちらはロッドに輪をかけて強烈な嗄れ声。普段は野太く熱い歌声を聴かせるが、ここぞと言うときのシャウトは思いっきりザラザラの嗄れ声に!!この人は喉にファズがかかってますよ・笑!!そのぐらい強力!!「デルタ・レディ」の歌唱最高すね!!心は南部へ飛んで行ってしまう。本作とともに、思いっきりラフでパワフルなライブ名盤「マッド・ドッグス・アンド・イングリッシュメン」も必聴!!
 ★ジョー・コッカージョー・コッカー!(1969年作品)
⑥ポール・ロジャース
 渋みを効かせ、じっくり歌い上げるスタイル。むやみにシャウトを連発せず、徐々に高みに上り詰め、感情を爆発させる。決して派手ではないが、聴き手を思わず引き込む”歌力”を持つ哀愁の名シンガー。何度でも聴きたくなる、味わい深い歌唱。再結成フリーで聴かせる歌は、(当時の心情を反映してか)哀愁の極み。重々しさを脱ぎ捨てて転身したバッド・カンパニーでもその魅力を存分に発揮!!クイーンとの合体は、当人同士が活き活きプレイが出来れば良いと思いますよ!!祝・来日!!
 ★フリー/ファイアー・アンド・ウォーター(1970年作品)
⑦クリス・ファーロウ
 とにかくまずは'66年のソロ曲「アウト・オブ・タイム」を聴いてみて下さい!かすれた野太い歌声からダイナミックなシャウト!!”本物”のオーラが漂う…まさに、圧倒的であります!確かに歌声がトム・ジョーンズと似てますが、彼とは成分が違うと思います(なんだそりゃ・笑)。コロッセウムでは、強者揃いのメンツの音爆撃に見事に噛み付いていて素晴らしい!!この後、アトミック・ルースターにも参加してますよね!でも彼は根っからの「ソウル歌手」ですよ!!
 ★コロッセウム/ライブ(1971年作品)
グレン・ヒューズ
 粘っこいシャウトも、クリアなハイトーンヴォイスも、器用に操る歌い手ですね!上手いです!トラピーズはバンドサウンドも、「リズムがハネるバド・カン」てな感じでなかなか面白いです(如何せん、もの凄く地味ですが・笑)!それから、ディープ・パープルに移り、今までよりも突き抜けたヴォーカルで、デイヴィッド・カヴァーデイルを完璧に喰ってしまう局面もちらほら(というかヒューズ、ちっとは空気読めや!前出過ぎじゃ(笑)!!)…。その後もハードロック畑で活躍。ヒューズ/スロールは好きな人多いすね!でも、ヒューズに対する、ハードロック愛好者以外の評価が聞こえて来ないのは何でだろうか?聴かず嫌いはもったいない!ソウル/ファンク好きなハードロッカー!
 ★トラピーズ/You Are the Music..We're Just the Band(1972年作品)
⑨フランキー・ミラー
 ほんと、いい声してます!!アーシーでディープな歌唱がたまらない!!サザン・ソウル/ディープ・ソウルへの憧れを最大限に表現している、というか。熱いがリラックスした歌唱が心地良い。バックのブリンズリー・シュウォーツとの相性も抜群!!英国スワンプ/パブロックの名盤。その後の3作品も今作同様必聴ですよ!!現在は体調が思わしくないようだ(言葉も満足に話せなくなってしまったと言うが?!)…復活を夢見てはいけないだろうか…。
 ★フランキー・ミラー/Once in a Blue Moon (1972年作品)
⑩ジェス・ローデン
 ’60年代、フロントマンだったアラン・ボウン・セットではノリノリでR&Bをシャウトしていた彼。溌剌とした若さが眩しいっす!!この後、自分のバンドを率いる前は、(元ドアーズの面子による)バッツ・バンドや、ポール・コゾフのソロ「バック・ストリート・クロウラー」、かの有名なツトム・ヤマシタの「GO TOO」とか、結構色々呼ばれて参加してます。それだけ実力者だったってことです!でも、如何せん、本人が持っている実力に比べ、(一般的な)知名度と評価が低いのは何故でしょう?こんなに歌上手いのになぁ!!ブルー・アイド・ソウルならではの味がよく出ている歌い手であります。このアルバムでは、安定感たっぷりにソウル/ファンク流儀の熱唱を聴かせてくれる。ぜひ、再評価を!!
 ★ジェス・ローデン・バンド/ジェス・ローデン(1974年作品)
ロバート・パーマー
 なんと、ジェスの後任の、アラン・ボウン・セットのヴォーカリストだったとは!!そう、やはり彼も若い頃から実力者だったわけです!!スムースでメロウなヴォーカルも、ファンキーでラフなシャウトも、どちらも決まっている…力みも自然でかっこいい!!この人も歌上手いすね…。若干鼻にかかった唸り声が彼の特徴か。1stとともに2ndも脅威の完成度を誇る。どちらもファンキーな名盤です!!歌とセンスの人。あと、笑い顔がエロい(爆・関係ねえし)!!数年前の唐突な死に驚きました…R.I.P。
 ★ロバート・パーマー/プレッシャー・ドロップ(1976年作品)
デイヴィッド・カヴァーデイル
 ディープ・パープルのヴォーカリストとして、彼は立場的に結構辛かったんじゃないかな、と思う(良い歌を歌ってたが)。パープルを終わらせ、肩の荷が下り、やっと自分の好きな音楽に打ち込める、とこのアルバムをつくったのでしょうか?恐ろしく地味ですが、渋みを持った味わい深い歌がここにはあります!!ひしひしと湧き上がるソウルを歌にしていった、という感じがします!(声質は異なりますが)ポール・ロジャース系の熱唱シンガー。でも、その後何故あそこまでして、アメリカで売れなければならなかったのか…それは、元パープルというプロの出発点がそうさせたのか…色々疑問は湧きますが、現在も、歌は変わらず素晴らしい。
 ★デイヴィッド・カヴァーデイルホワイトスネイク(1978年作品)